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遺言書の書き方と様式|自筆証書遺言の要件と注意点を解説

村田 誠一 / 更新:2026-06-20
「遺言書をそろそろ書いておきたいけど、何から手をつければいいのか分からない」。私が相談を受けるとき、最初に出るのはたいていこの言葉です。結論から言うと、まず選ぶのは自筆証書遺言か公正証書遺言の二択で、自分で書くなら法務局の保管制度(1通3,900円)を使うのが今は一番現実的です。
  • 遺言書の主な方式は自筆証書遺言と公正証書遺言の2つで、確実性を取るなら公正証書遺言。
  • 自筆証書遺言は全文・日付・氏名を自書し押印するのが基本で、財産目録だけはパソコン作成や代筆が認められている。
  • 法務局の自筆証書遺言書保管制度は2020年7月10日に開始され、保管申請手数料は1通3,900円。
  • 保管制度を使うと家庭裁判所の検認が不要になり、紛失・改ざんの防止につながる。
  • ただし法務局は形式しか確認せず、内容の有効性までは保証されない。中身の設計は別問題。

遺言書の結論

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迷ったら、確実性が欲しい人は公正証書遺言、費用を抑えて自分で書きたい人は自筆証書遺言+法務局保管制度、これが私の基本的な勧め方です。

行政書士として12年、相続と遺言の現場にいると、方式選びの段階でつまずく方が本当に多い。難しく考える必要はありません。

自筆証書遺言は、遺言者が全文・日付・氏名を自書して押印する方式だと法務省が案内しています。公正証書遺言は、公証人が遺言者から聞いた内容を文書にする方式です。

自分で書くなら、書いた後に法務局の保管制度(1通3,900円)を使う。これだけで紛失・改ざんのリスクと、相続後の検認手続が消えます。

遺言書の作成に当たって

遺言書を書く前に決めるべきは「誰に・何を・どれだけ残すか」の中身であって、用紙や形式は後回しで構いません。

私が面談でまずやるのは、財産の棚卸しです。預貯金、不動産、有価証券、生命保険。これを一覧にしないと、何を書けばいいか自分でも分からなくなります。

遺言書の方式は、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3類型に整理するのが一般的です。ただ実務で使うのはほぼ前者2つで、秘密証書遺言を選ぶ方には12年でほとんど出会っていません。

正直に言うと、財産が複雑だったり相続人の仲が微妙だったりするケースほど、公正証書遺言を勧めます。形式の不備で無効になるのを公証人が防いでくれるからです。

【1】 民法で定められた自筆証書遺言の要件について

自筆証書遺言が有効になるのは、遺言者が全文・日付・氏名を自書し、押印したときです。

ここで言う「自書」は、自分の手で書くこと。パソコンや代筆では原則ダメです。法務省もこの点を明確に案内しています。

ただし例外がひとつ。財産目録については、2019年1月13日以降、パソコン作成や代筆が認められるようになりました。通帳のコピーや登記事項証明書を添付する形でも構いません。

日付は「令和7年1月吉日」のような書き方だとアウトです。何月何日まで特定できないと無効になります。これ、本当に多いミスです。

本文は手書き、財産目録だけはパソコン可。日付は「○年○月○日」まで必ず特定する。この3点を外すと、せっかくの遺言が無効になります。

【2】 本制度において求められる様式等について

全財産を相続人の一人に相続させる遺言書の書き方
全財産を相続人の一人に相続させる遺言書の書き方

法務局の自筆証書遺言書保管制度を使う場合、遺言書本文は遺言者本人が法務局に出頭して申請する運用になっています。

この制度は2020年7月10日に始まりました。法務局が遺言書の原本と画像データを保管します。

申請は代理ではできず、本人が出向く必要があります。体が不自由で外出が難しい方には、ここが地味にハードルになります。

自筆証書遺言書保管制度の基本情報
項目内容
開始日2020年7月10日
保管申請手数料1通につき3,900円
申請者遺言者本人が出頭
保管されるもの遺言書の原本と画像データ
検認不要

【3】 本制度において求められる遺言書の記載上の留意事項

保管制度で法務局がチェックするのは形式面だけで、遺言の内容が妥当かどうかは審査されません。

つまり、形式が整っていれば受理されますが、それは「中身が有効」を意味しません。ここを誤解している方が多い。

例えば、遺留分を無視した配分を書いても法務局は止めてくれません。受理された=トラブルが起きない、ではないのです。

私の経験では、保管制度を使った遺言書でも、内容が曖昧で相続人がもめたケースがあります。「不動産は長男に」とだけ書いて、どの不動産か特定できなかった。

法務局の保管制度は形式チェックのみ。内容の有効性や相続トラブルの回避は別問題です。財産は登記情報や口座番号まで特定して書きましょう。

遺言書の様式(例)等について

遺言書の様式に厳密な決まりはありませんが、保管制度を使うなら余白や用紙サイズのルールに合わせる必要があります。

保管制度では、A4サイズの用紙を使い、一定の余白を空けることが求められます。スキャンして画像データ化するためです。

様式の細かい仕様は法務省の専用ページに様式例が掲載されています。実際に作る方には、必ずそれを見てから書くよう伝えています。

1 遺言書の様式の注意事項等について

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様式で一番気をつけるのは、余白を侵さないことと、片面のみに記載することです。

裏面に書くと保管制度では受け付けてもらえません。複数枚になる場合はページ番号を振ります。

財産目録をパソコンで作る場合でも、各ページに署名と押印が必要です。これを忘れて差し戻された方を何人も見ました。

  • 用紙は片面のみに記載する。
  • 所定の余白を空け、文字や印が余白にかからないようにする。
  • 財産目録の各ページにも署名・押印する。
  • 複数枚になるときはページ番号を付ける。

2 遺言書の用紙例について

用紙は市販のA4コピー用紙で十分で、特別な遺言書用紙を買う必要はありません。

私の事務所では、普通のコピー用紙に黒のボールペンで書くよう案内しています。消えるペンは絶対に使わないでください。改ざんを疑われます。

罫線入りの便箋でも問題ありませんが、保管制度を使うなら余白要件を満たすか確認を。罫線が余白にかかっていると弾かれることがあります。

遺言書の種類と作成方法

遺言書には自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3種類があり、実務で主に使うのは前2つです。

自筆証書遺言は手軽で費用が安い。公正証書遺言は確実だが手間と費用がかかる。ここがざっくりした違いです。

遺言書の主な方式の比較
方式作成方法保管検認
自筆証書遺言本人が全文・日付・氏名を自書し押印(財産目録はパソコン可)自宅・弁護士・法務局保管制度原則必要。保管制度利用時は不要
公正証書遺言公証人が遺言者の内容を聞き取り文書化公証役場不要
秘密証書遺言内容を秘密にしたまま存在のみ公証本人必要

自筆証書遺言のデメリットは、形式不備で無効になりやすいことと、自宅保管だと紛失・改ざんのリスクがあること。保管制度はこのうち後者をかなり潰してくれます。

正しい遺言の方式とそれぞれのメリット・ デメリットを理解し、あなたに合った方式で かつ法的に有効な遺言を残しましょう。

賢い遺言書の残し方【相続徹底解説シリーズ第2講】
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方式選びの基準はシンプルで、確実性が欲しいなら公正証書遺言、費用と手軽さなら自筆証書遺言+保管制度です。

私が現場で見てきた率直な印象を書きます。財産がシンプルで相続人も揉めなさそうなら、自筆証書遺言+法務局保管で十分。3,900円で検認も不要になり、コスパがいい。

逆に、不動産が複数ある、相続人の関係が良くない、認知症が心配といったケースは、迷わず公正証書遺言を勧めます。公証人が関与する分、後で無効を争われにくい。

両方にメリットがあると並べたいところですが、正直、揉めそうな案件で自筆証書遺言を選ぶのはリスクが大きすぎる。私はそこは勧めません。

自筆証書遺言の保管制度は紛失防止・改ざん防止・検認不要・相続手続の円滑化というメリットがあります。ただし内容の法的妥当性までは保証されない点は変わりません。

普通方式遺言と特別方式遺言

遺言には日常的に使う普通方式遺言と、病気や災害などの緊急時に限って認められる特別方式遺言があります。

普通方式が、これまで説明してきた自筆証書・公正証書・秘密証書の3つ。ほとんどの方はこちらを使います。

特別方式は、死期が迫っているときや船舶遭難時など、通常の方法で遺言を作れない非常時の特例です。証人の人数など要件が普通方式と違い、危機を脱して一定期間が過ぎると効力を失います。

実務では特別方式に出会うことはまずありません。私も12年で扱ったことはない。普通方式の中から選べば、ほぼすべての方は事足ります。

よくある質問

相談でよく聞かれる3つの質問に、実務の目線で短く答えます。

よくある質問

遺言書とは?
遺言書とは、自分の財産を誰にどう残すかを生前に書き残す法的な書面です。主な方式は自筆証書遺言と公正証書遺言で、自筆証書遺言は全文・日付・氏名を自書し押印するのが基本です(財産目録のみパソコン作成可)。
遺言書の費用は?
自筆証書遺言を法務局の保管制度に預ける場合の保管申請手数料は1通3,900円です。公正証書遺言は公証役場の手数料が別途かかり、財産額や内容によって変動します。自分で手書きするだけなら用紙とペン代だけで作れます。
遺言書の始め方は?
まず財産の棚卸しから始めます。預貯金・不動産・有価証券などを一覧にし、誰に何を残すか方針を決める。その上で自筆証書遺言か公正証書遺言かを選びます。自分で書くなら、法務省の様式例を確認してから書き、書き上げたら法務局の保管制度の利用を検討してください。

最後にひとつだけ。遺言書は「書いて終わり」ではなく「相続人が困らないか」まで考えて作るものです。形式が整っても中身が曖昧だと、結局もめます。まずは財産の一覧づくりから、今日始めてみてください。

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村田 誠一

行政書士(相続・遺言専門) ・ 公正証書遺言の作成サポート実務経験あり
行政書士歴12年

行政書士として相続・遺言業務に長年携わり、公証役場との実務連携を通じて得た一次情報をもとに、読者が実際に動けるよう具体的な手順と費用を丁寧に解説します。

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