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遺言書の書き方と見本を公開|配偶者・子供別の文例と執行者の指定まで解説

村田 誠一 / 更新:2026-06-20
遺言書を書こうと思っても、何から手をつけ、どこまで自分の手で書くべきか迷う人は多い。私が相談を受けるとき、最初に伝えるのは「全文を自分で書き、日付を入れ、署名押印する」という3つの核です。この記事では、その核を押さえた見本と、財産の渡し先別の文例、保管制度の費用までまとめました。
  • 自筆証書遺言は遺言本文・作成日付・氏名を本人が自書し、押印する必要がある。
  • 日付は「○年○月○日」と特定する。「○年○月吉日」は無効になる。
  • 財産目録だけはパソコン作成やコピー添付が可能だが、各ページに署名押印がいる。
  • 法務局の自筆証書遺言書保管制度を使うと検認が不要で、保管申請手数料は1通3,900円。
  • 公正証書遺言は公証人が関与し、証人2名以上が必要で、手数料は財産額で変わる。

遺言書 書き方 見本の結論

【自筆証書遺言】遺言書の書き方【初心者向け】
【自筆証書遺言】遺言書の書き方【初心者向け】

結論から言うと、自筆証書遺言は「全文自書・日付の特定・署名押印」の3点を満たせば、自宅にある紙とペンだけで作れます。

所要時間の目安は、財産が少なくシンプルなら30分ほど。財産目録を作る場合は1時間前後みておくと安心です。

難易度は決して高くありません。ただし、つまずく人のほとんどが「日付」と「押印」で形式を外します。ここだけは妥協しないでください。

用意するものは、A4の紙、消えないボールペン、印鑑(実印でなくてよい)の3つ。財産目録を添えるなら、通帳や登記事項証明書のコピーも手元に置きます。

自筆証書遺言で本文・日付・氏名のいずれかを自書しなかったり、日付を「吉日」とぼかしたりすると、その遺言は無効になります。
自筆証書遺言・用紙と様式の目安(法務省の案内)
保管制度を利用する場合の様式
項目内容
用紙サイズA4
余白上5mm・下10mm・左20mm・右5mm以上
使用面片面のみ
ページ番号余白内に記載
氏名住民票や戸籍の記載どおり

1-1.遺言書の下書きをカンタン自動作成

下書きは、いきなり清書せず「誰に・何を・どれだけ渡すか」を箇条書きにするところから始めると失敗しません。

私が相談者に最初に書いてもらうのは、次の3列だけのメモです。

清書前に書き出す下書きメモ
渡す相手渡す財産備考
妻 ○○自宅の土地・建物住所と地番を登記どおりに
長男 ○○△△銀行の預金支店名・口座番号を控える
長女 ○○現金金額の目安

この時点では走り書きで構いません。財産の特定が曖昧だと、後で相続人が「これはどの口座?」と困ります。口座番号や地番を控えておくのがコツです。

下書きが固まれば、清書は写すだけ。ここまでできていれば、本番で迷う時間がぐっと減ります。

1-2.動画で分かる「遺言書を日本一カンタンに書く方法」

文字だけで形式が不安なら、法務省の公式情報を一度通して確認するのが確実です。

正直に言うと、市販の解説動画は分かりやすい一方で、様式の細部が古い場合があります。余白やページ番号の扱いは制度の運用で変わるため、最終確認は一次情報に戻してください。

私が実務で必ず参照するのは法務省のページです。用紙サイズや余白の指定もここに明記されています。

動画や民間解説で全体像をつかんだら、提出前の最終チェックは必ず法務省の案内で照合する。これだけで様式不備による差し戻しを大きく減らせます。

1-3.標準的な遺言書の書き方・文例

遺言書を「日本一カンタンに書く方法」教えます!
遺言書を「日本一カンタンに書く方法」教えます!

標準的な自筆証書遺言は「表題→本文(誰に何を)→付言→日付→住所・氏名→押印」の順で書きます。

基本の流れを手順で示します。1ステップ=1動作です。

  1. 紙の最上部に「遺言書」と書く。
  2. 「遺言者○○は、次のとおり遺言する。」と書き出す。
  3. 「第1条 妻○○に、次の財産を相続させる。」と渡す相手と財産を特定して書く。
  4. 財産が複数なら第2条、第3条と条文を分けて書く。
  5. 必要なら付言事項として家族への思いを書く。
  6. 本文の最後に「○年○月○日」と作成日を具体的に書く。
  7. 住所と氏名を住民票どおりに自書し、末尾に押印する。

ここまで書けて、日付が特定でき、署名押印があれば、形式上は有効な遺言書です。

財産目録を別紙にする場合は、その別紙にもページごとに署名押印を忘れないこと。本文と目録で印が抜けるのが、私が現場で一番よく見る失敗です。

財産目録の作り方(本文との違い)
項目本文財産目録
作成方法全文自書パソコン作成・コピー添付も可
署名押印本文末尾に必要各ページに必要
日付本文に記載目録自体には不要

2-1.予備的遺言の書き方(遺言者より先に亡くなるケースの想定)

予備的遺言とは、財産を渡す相手が自分より先に亡くなった場合に備え、次の渡し先をあらかじめ書いておく一文です。

たとえば「妻○○に自宅を相続させる。ただし、妻が遺言者より前に死亡したときは、これを長男○○に相続させる。」と書きます。

これを入れないと、せっかくの遺言の一部が宙に浮き、結局その財産だけ遺産分割協議が必要になります。高齢のご夫婦ほど、私はこの一文を勧めています。

配偶者にすべてを渡す内容なら、予備的遺言を一文足すだけで、万一の順番違いによる協議のやり直しを防げます。

2-2.遺言執行者を指定する

遺言執行者は、遺言の内容を実際に手続きで実現する人で、遺言書の中で指定できます。

「本遺言の遺言執行者として、長男○○を指定する。」の一文で足ります。

執行者がいると、預金の解約や不動産の名義変更を一人で進められます。相続人が多いケースほど、指定しておくと手続きが止まりません。

私の経験では、執行者の指定がない遺言は、金融機関ごとに相続人全員の署名を求められて時間がかかりがちです。専門家を執行者にしておく選択肢もあります。

3-1.妻(夫)にすべて相続させたい場合(子供がいないケース)

法務局に預ける自筆証書遺言書 3分で分かる!作成の基本
法務局に預ける自筆証書遺言書 3分で分かる!作成の基本

子供がいない夫婦では、遺言がないと配偶者と親、または配偶者と兄弟姉妹で遺産を分けることになります。

文例は「遺言者は、その有する一切の財産を、妻○○に相続させる。」とシンプルにまとめます。

ここで注意したいのが遺留分です。親が存命なら親に遺留分があります。一方、兄弟姉妹には遺留分がありません。

配偶者だけに全部を残したいとき、相手が兄弟姉妹なら遺言で完全に実現できます。親が存命の場合は遺留分への配慮が要ります。

3-2.妻(夫)にすべて相続させたい場合(子供がいるケース)

子供がいる場合に配偶者へ全財産を渡す遺言は有効ですが、子供には遺留分が残ります。

文面自体は「一切の財産を妻○○に相続させる。」で同じです。違うのは、後から子供が遺留分を主張できる点です。

私が勧めているのは、付言事項に理由を書くこと。「老後の妻の生活を守るため」と一言あるだけで、子供が請求をためらう例を何度も見てきました。

ただし付言に法的拘束力はありません。確実に争いを避けたいなら、子供にも一定額を残す配分を検討します。

3-3.親にも財産を分け与えたい場合

親に財産を残したいときは、相続させる財産を具体的に特定して条文を分けます。

「第1条 母○○に、現金300万円を相続させる。第2条 残余の財産を妻○○に相続させる。」のように書きます。

親が法定相続人になるのは、子がいない場合です。子がいるなら親は相続人になりません。その場合は「相続させる」ではなく「遺贈する」と書きます。この一語の違いで手続きが変わるので、私は必ず確認します。

3-4.子供同士で分ける財産に差をつける場合

【見本付き】自筆証書遺言書の作り方について解説しました。
【見本付き】自筆証書遺言書の作り方について解説しました。

子供ごとに渡す額を変えるのは自由ですが、少なくする子の遺留分には触れないよう配分を設計します。

「第1条 長男○○に、△△銀行の預金全部を相続させる。第2条 長女○○に、現金500万円を相続させる。」のように、誰に何をかを明確にします。

差をつける理由は付言に書いておくと角が立ちにくい。「長男には自宅を継いでもらうため」など、具体的に書くほど納得が得られます。

差をつける配分でも、最も少ない子の取り分が遺留分を下回ると、後から請求される可能性が残ります。配分は遺留分を意識して決める。

3-5.長男に事業を継がせる場合

事業承継では、自社株や事業用資産を後継者の長男に集中させ、他の子には別の財産でバランスを取ります。

「第1条 長男○○に、株式会社○○の株式全部および事業用不動産を相続させる。」と特定したうえで、他の子へ預金や生命保険で配慮します。

株式が分散すると、会社の意思決定が止まります。だからこそ後継者に集めるのですが、その分だけ他の子の遺留分が問題になりやすい。ここは正直、遺言だけで完結させず、生前から生命保険などで原資を準備しておくほうが安全です。

事業承継は財産規模が大きく、関係者も多い。私の立場としては、この類型こそ専門家と公正証書での作成を勧めます。

よくある質問

相談の現場で繰り返し聞かれる質問を、結論から短くまとめました。

自筆証書遺言の保管制度でかかる費用
法務省の手数料
手続き費用
保管申請1通 3,900円
モニターでの閲覧1回 1,400円
原本の閲覧1回 1,700円
撤回届の受理1,400円
遺言書保管事実証明書1通 800円
遺言書情報証明書1通 1,400円
公正証書遺言の手数料の例
財産額に応じて変動
財産額手数料
1,000万円超〜3,000万円以下3万9,000円
3,000万円超〜5,000万円以下4万6,000円
5,000万円超〜1億円以下6万2,000円

よくある質問

遺言書 書き方 見本とは?
自筆証書遺言の見本とは、表題・本文・日付・署名押印という有効要件を満たした書式例のことです。全文を自書し、日付を「○年○月○日」と特定し、住民票どおりの氏名で署名して押印すれば、形式上は有効になります。
遺言書 書き方 見本の費用は?
自分で書く自筆証書遺言そのものに費用はかかりません。法務局の保管制度を使う場合は保管申請が1通3,900円です。公証人が関与する公正証書遺言は、財産額に応じて手数料が変わり、たとえば1,000万円超3,000万円以下で3万9,000円、5,000万円超1億円以下で6万2,000円です。
遺言書 書き方 見本の始め方は?
まず「誰に・何を・どれだけ渡すか」を箇条書きにして下書きを作ります。次にA4の紙へ全文を自書し、日付を具体的に書き、住所・氏名を自書して押印します。財産目録を別紙にする場合は各ページに署名押印を加えます。

見本を写すだけで形式は整います。あとは財産の特定を丁寧にやるだけ。迷う配分や事業承継が絡むなら、紙を書く前に一度、専門家か公証役場へ相談してください。

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村田 誠一

行政書士(相続・遺言専門) ・ 公正証書遺言の作成サポート実務経験あり
行政書士歴12年

行政書士として相続・遺言業務に長年携わり、公証役場との実務連携を通じて得た一次情報をもとに、読者が実際に動けるよう具体的な手順と費用を丁寧に解説します。

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