遺言とは何か?書き方の種類から執行者の役割まで解説
- 遺言とは、自分の財産を誰にどう渡すかを定める最終の意思表示です。
- 日本で有効な遺言は、原則として自筆証書遺言と公正証書遺言など法定の方式に限られます。
- 自筆証書遺言は全文・日付・氏名を自書し押印して作りますが、財産目録は一定要件で自書以外も認められます。
- 法務局の自筆証書遺言書保管制度は2020年7月10日に開始し、保管申請手数料は1通3,900円です。
- 公正証書遺言の作成件数は2024年に12万8,378件でした。
遺言の結論
迷ったら公正証書遺言、コスト重視なら保管制度付きの自筆証書遺言、これが私の率直な結論です。
理由はシンプルで、公正証書は公証人が関与するため形式不備で無効になるリスクがほぼ消えるからです。
一方、自筆証書遺言は手軽ですが、書き方の要件を満たさず無効になる例を私は何度も見てきました。
2 遺言
日本の法律で有効な遺言は、原則として自筆証書遺言と公正証書遺言など、法定の方式によるものに限られます。
つまり「2つの遺言」と言うとき、実務で中心になるのはこの2方式です。
電子データや映像で残した遺言は、現行法上は有効な遺言として認められていません。スマホの録画で済ませようとした相談者がいましたが、それは法的に無効だと説明しました。
目次
この記事は、遺言の定義から自筆証書遺言と公正証書遺言の違い、費用、始め方までを順に扱います。
- 遺言とは何かという定義の確認
- 遺言執行者と、遺言書がない場合の取り扱い
- 自筆証書遺言と公正証書遺言の違いと特徴
- 費用と始め方を含むよくある質問
「遺言」とは?
遺言とは、自分が亡くなったあとに財産を誰にどう分けるかを定める、法的な効力を持つ最終の意思表示です。
ここで大事なのは「法的な効力を持つ」という点です。手紙やエンディングノートに希望を書いても、それだけでは法的拘束力はありません。
法定の方式で作って初めて、相続人を法的に拘束する遺言になります。ここを誤解している人が、本当に多い。
遺言とは「被相続人の財産に関する最終の意思表示」
遺言は、亡くなった人(被相続人)の財産について、本人が生前に示した最終の意思表示です。
被相続人とは、財産を遺して亡くなる人のことです。
この意思表示があると、法律で決まった相続分とは異なる分け方を指定できます。たとえば「自宅は長女へ、預金は長男へ」と具体的に決められます。
私が実務で痛感するのは、この一通があるかないかで、残された家族の負担がまるで違うということです。
遺言執行者とは「遺言を実現する人」
遺言執行者とは、遺言の内容を実際に手続として実現する役割の人です。
たとえば預金の解約、不動産の名義変更、相続人への財産の引き渡しなどを、遺言者に代わって進めます。
指定は任意ですが、私は付けておくことを勧めます。執行者がいないと、相続人全員の協力が必要になり、一人でも非協力的だと手続が止まるからです。
行政書士や弁護士などの専門家を執行者に指定するケースも実務では珍しくありません。
遺言書がないときはどうなる?
遺言書がない場合、相続人全員で遺産分割協議を行い、誰が何を取得するかを話し合って決めます。
この協議は全員の合意が必要です。一人でも反対すれば成立しません。
正直に言うと、もめる相続の多くは遺言がない案件です。仲の良かった兄弟が、親の家の扱いで決裂する。そういう現場を私は何度も見てきました。
遺言書の多くは「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」
実際に使われる遺言の大半は、自筆証書遺言か公正証書遺言のどちらかです。
公正証書遺言の作成件数は、2024年に12万8,378件にのぼりました。
自筆証書遺言は自宅で手軽に作れる分、件数の正確な把握は難しいのですが、法務局で保管された分の利用状況は法務省の公表資料で確認できます。
「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の違い
両者の最大の違いは、公証人が関与するかどうかと、それに伴う確実さと費用のバランスです。
自筆証書遺言は自分一人で作れて費用が安い反面、形式不備で無効になるリスクがあります。公正証書遺言は公証人が作るため確実ですが、手数料がかかります。
| 項目 | 自筆証書遺言 | 公正証書遺言 |
|---|---|---|
| 作成方法 | 遺言者が全文・日付・氏名を自書し押印(財産目録は一定要件で自書以外も可) | 公証人が遺言者から聞いた内容をもとに作成 |
| 費用 | 法務局で保管する場合の申請手数料は1通3,900円 | 公証人手数料(公証役場の手数料表で確認) |
| 無効リスク | 形式不備で無効になる場合がある | 公証人が関与し低い |
| 保管 | 自宅保管または法務局の保管制度を利用 | 公証役場で原本を保管 |
私の率直な意見では、財産が複雑だったり相続人の仲に不安があったりするなら、迷わず公正証書です。
自筆証書遺言の特徴
自筆証書遺言は、遺言者が全文・日付・氏名を自書し、押印して作成する遺言です。
財産目録については、一定の要件のもとで自書以外(パソコン作成や通帳コピーなど)でも認められます。これは作る側にとって大きな負担軽減です。
作成した自筆証書遺言は、法務局で保管できる「自筆証書遺言書保管制度」を使えます。この制度は2020年7月10日に開始しました。
保管の申請手数料は1通3,900円です。遺言者本人が法務局へ出頭して申請する必要があります。
申請時には法務局が方式適合性を外形的に確認し、遺言書を画像情報として保存します。ただし内容の妥当性まで保証するものではない点に注意してください。
公正証書遺言の特徴
公正証書遺言は、公証人が遺言者から聞いた内容をもとに作成する、最も確実性の高い遺言です。
公証人という法律の専門家が形式を整えるため、形式不備による無効はまず起きません。原本は公証役場で保管されるので、紛失や改ざんの心配もありません。
さらに2025年10月1日から、公正証書遺言は手続のデジタル化が実施されています。
費用は公証人手数料がかかり、財産額に応じて変わります。正確な額は公証役場の手数料表で確認してください。
私が公正証書遺言の作成をサポートしてきた経験から言うと、手数料を払う価値は十分にあります。残された家族が手続でつまずかない、その確実さが何より大きい。
よくある質問
相談現場で実際によく聞かれる3つの質問に、定義・費用・始め方の順で答えます。
よくある質問
最後に一つだけ。遺言は「いつか書く」と思っているうちに書けないものです。財産を渡したい相手の顔が浮かぶなら、今日メモを取るところから始めてください。
