遺言公正証書とは?メリット・デメリットと作成手順をわかりやすく解説
- 遺言公正証書は、公証人が遺言者の口述をもとに作り、証人2名の立会いが必要な遺言です。
- 作成後の検認手続き(家庭裁判所の確認)は不要で、相続開始後すぐに使えます。
- 原本は公証役場で保管され、遺言者には正本・謄本が渡されます。
- 平成元年以降に作られた公正証書遺言は全国どこの公証役場でも検索できます(遺言検索の申出は無料)。
- 作成には公証人への手数料がかかりますが、本記事では確認できた事実のみを記載します。
遺言公正証書の結論

遺言公正証書は、公証人が遺言者の話した内容を文章にまとめて作る、法的に最も信頼性の高い遺言の形式です。
私が実務で遺言を勧めるとき、財産が多い・少ないにかかわらず公正証書をすすめます。理由はシンプルで、後から「無効だ」と争われにくいから。
自分で書く遺言(自筆証書遺言)は、書き方の不備で無効になるケースを何度も見てきました。公正証書はそこを公証人が押さえてくれます。
2 遺言
遺言とは、自分が亡くなった後の財産の分け方を、生前に法的な形で残しておく意思表示です。
残された家族が「誰が何を相続するか」で揉めるのを防ぐのが、遺言の一番の役割です。
正直に言うと、遺言がないために兄弟姉妹の関係が壊れる場面を、私は何度も見てきました。金額の大小は関係ありません。
公証制度そのものが、国民の私的な法律紛争を未然に防ぎ、法律関係を明確にすることを目的とした仕組みです。遺言を公正証書で作るのは、その制度の力を借りるということです。
1-1.遺言書を作成するメリット
遺言書を作る最大のメリットは、財産の分け方を自分の意思で決められ、相続人同士の争いを防げることです。
特に公正証書遺言は、検認が不要なので相続開始後の手続きがスムーズです。
- 自分の意思で財産の配分を決められる。
- 公正証書遺言なら家庭裁判所の検認が不要で、すぐ手続きに進める。
- 原本が公証役場で保管されるため、紛失や改ざんの心配がない。
- 平成元年以降のものは全国の公証役場で検索でき、相続人が遺言の存在を確認できる。
実務で助かるのは、検認がいらない点です。検認は申立てから完了まで時間がかかります。預貯金の解約を急ぐ遺族にとって、この差は大きい。
1-2.遺言書を作成するデメリットと注意点

公正証書遺言のデメリットは、作成に手数料がかかり、証人2名の立会いが必要で手間がある点です。
自筆証書遺言と違い、ひとりで完結しません。
証人は誰でもよいわけではなく、なり手に制限があります。推定相続人やその配偶者などは証人になれません。身内だけで済ませられない点は、最初に知っておいてください。
手数料の具体的な金額は公証人に支払うものとして必要ですが、本記事では確認できた一次情報の中に現行の金額表がないため、金額の断定は避けます。作成前に管轄の公証役場へ確認してください。
1-3.遺言書の種類
遺言書には主に「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。
このうち、確実性と手続きのしやすさで私が最もすすめるのは公正証書遺言です。
| 種類 | 作成方法 | 検認 | 保管 |
|---|---|---|---|
| 公正証書遺言 | 公証人が口述をもとに作成。証人2名が立会い | 不要 | 原本を公証役場が保管 |
| 自筆証書遺言 | 本人が全文を手書きで作成 | 原則必要 | 本人が保管(または法務局の保管制度) |
| 秘密証書遺言 | 内容を秘密にして存在のみ公証人が証明 | 必要 | 本人が保管 |
自筆証書遺言は手軽ですが、書式の不備で無効になりやすい。秘密証書はほとんど使われません。迷うなら公正証書、というのが私の率直な意見です。
堅田 勇気
相続にまつわる法律トラブルは、専門家に早めに相談するのが解決の近道です。
遺言の作成は行政書士や弁護士がサポートします。ただし、相続人同士がすでに対立している、遺留分でもめそうといった「争いごと」が絡む場合は、弁護士の領域です。
私自身、争いの兆しがある案件は早い段階で弁護士と連携します。役割の線引きを知っておくと、相談先で迷いません。
家族間トラブル・相続問題など、その他トラブルがある場合は弁護士へ

相続で家族間の争いが起きている、または起きそうな場合は、弁護士へ相談するのが適切です。
遺言の「作成」そのものは行政書士でも対応できますが、すでに揉めている遺産分割や遺留分の請求は、代理交渉ができる弁護士でないと動けません。
線引きの目安はシンプルです。揉めていなければ作成のサポート、揉めていれば弁護士。これだけ覚えておけば十分です。
公正証書遺言とは
公正証書遺言とは、公証人が遺言者の口述をもとに作成し、証人2名の立会いのもとで完成させる遺言です。
作成の場では、遺言者が公証人と証人2名の前で内容を口頭で述べ、公証人がそれを文章にします。
そのあと公証人が遺言者と証人2名に読み聞かせる(または閲覧させる)ことで、内容に間違いがないかを確認します。
完成した原本は公証役場で保管され、遺言者には正本と謄本が交付されます。保存期間は日本公証人連合会の取扱いとして、遺言者の死亡後50年、証書作成後140年、または遺言者の生後170年間とされています。
なお、障害のある人でも公正証書による遺言ができるよう民法が改正され、平成12年1月8日から施行されています。話すことや書くことに不自由があっても、対応の方法が用意されています。
公正証書遺言を作成するには
公正証書遺言は、公証人への依頼から始まり、資料提出・案文確認・作成当日という流れで進みます。
いきなり公証役場に駆け込むのではなく、何を残したいかを整理してから動くとスムーズです。
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| 1. 公証人への依頼 | 遺言の内容を伝え、作成を依頼する |
| 2. 必要資料の提出 | 戸籍や財産関係の書類を提出する |
| 3. 案文の作成 | 公証人が遺言公正証書の案を作る |
| 4. 日時の打合せ・確定 | 作成日時を打ち合わせて確定する |
| 5. 作成当日 | 証人2名の立会いのもと、内容を確認して作成する |
作成当日にやることは、内容の確認と署名・押印です。事前に案文を詰めておけば、当日は短時間で終わります。私の経験上、準備が9割です。
公正証書遺言の作成にあたって必要な書類

必要書類は、遺言者の本人確認資料と、相続人・財産を特定するための戸籍や登記事項証明書などが基本です。
具体的に何が要るかは、財産の種類や相続人の構成で変わります。
不動産があれば登記事項証明書と固定資産評価証明書、預貯金なら通帳の写し、といった形で財産ごとに資料を揃えます。詳しい一覧は、依頼する公証役場が事前に指示してくれます。
早めに公証役場へ問い合わせて、必要書類のリストをもらうのが結局いちばん早い。私はいつも、相談の初回でここを確認します。
よくある質問
相談現場でよく聞かれる質問を、要点だけまとめました。
よくある質問
遺言は「いつか」と思っているうちに先延ばしになりがちです。まずは財産の棚卸しをして、最寄りの公証役場へ問い合わせる。そこから始めれば十分です。
