自筆遺言証書とは?メリット・デメリットと法務局保管制度を解説
- 自筆遺言証書は民法968条に基づく遺言方式で、全文・日付・氏名の自筆と押印の4点が必須です。
- 自分で書けば作成手数料は0円、証人も不要です。
- 財産目録だけはパソコンで作成でき、自筆でなくても構いません。
- 2020年7月10日から始まった法務局の保管制度(手数料3,900円)を使えば、家庭裁判所の検認が不要になります。
- 「任せる」など曖昧な書き方や、複数人での共同遺言は無効になるので注意が必要です。
自筆遺言証書の結論

自筆遺言証書は、紙とペンと印鑑さえあれば誰でも費用0円で作れる、もっとも手軽な遺言方式です。
ただし「手軽さ」と「確実さ」は別の話。要件を1つでも欠くと、せっかく書いた遺言が丸ごと無効になります。
私の実務経験で言うと、一番多い失敗は日付の書き忘れと、押印漏れです。ここを外さなければ、自筆遺言証書は十分に頼れる手段だと考えています。
自筆証書遺言書保管制度について
法務局の自筆証書遺言書保管制度を使えば、遺言書の原本を国が預かり、家庭裁判所の検認手続きが不要になります。
この制度は2020年7月10日(令和2年7月10日)に始まりました。手数料は遺言書1通につき3,900円で、収入印紙で納めます。
正直に言うと、私は自筆で遺言を書く方には、この制度の利用を強く勧めています。自宅保管だと「紛失・改ざん・そもそも見つけてもらえない」という3つのリスクが消えないからです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施行日 | 2020年7月10日(令和2年7月10日) |
| 手数料 | 遺言書1通につき3,900円(収入印紙で納付) |
| 原本の保管期間 | 遺言者の死亡後50年間 |
| 画像データの保管期間 | 150年間 |
| 検認手続き | 不要 |
| 申請できる法務局 | 住所地・本籍地・所有不動産の所在地のいずれかを管轄する法務局 |
申請先は、遺言者の住所地・本籍地・所有する不動産の所在地のいずれかを管轄する法務局です。どこでもいいわけではない点に気をつけてください。
お知らせ
自筆証書遺言書保管制度の最新の運用や様式は、法務省の公式ページで必ず確認してください。
保管制度の申請書様式や予約方法は法務省が公開しています。手数料や保管期間といった数値も含め、制度の根拠情報は公式ページが一次情報です。
遺言の作成を相談できる弁護士を探す

遺言内容が複雑だったり、相続人どうしのトラブルが予想されるなら、弁護士など専門家への相談を検討してください。
自筆遺言証書は自分で書けば0円ですが、書き方を1つ間違えるだけで無効になります。特に遺留分が絡むケースは、自己流で進めると後で家族がもめます。
私自身は行政書士として遺言作成のサポートをしていますが、紛争性が高い案件は弁護士へ、不動産登記が関わる案件は司法書士へとつなぐようにしています。誰に頼むかは「いま何が一番不安か」で選ぶのが現実的です。
1. 自筆証書遺言とは
自筆証書遺言とは、遺言者本人が全文・日付・氏名を自筆で書き、印鑑を押して作成する遺言です(民法968条)。
公正証書遺言と違い、公証人も証人も必要ありません。自分一人で、いつでも、好きな場所で作れます。
そのぶん全責任が自分にかかります。様式チェックをしてくれる人がいないので、要件を満たしているかは自己判断になります。
1-1. 自筆証書遺言のメリット
自筆証書遺言の最大のメリットは、自分で書けば作成手数料が0円で、証人も不要という手軽さです。
思い立ったその日に書けて、書き直しも自由。誰にも内容を知られずに作れます。
公正証書遺言だと公証人手数料がかかり、証人2人も必要です。その点、コストとプライバシーの面では自筆証書遺言が優れています。
1-2. 自筆証書遺言のデメリット

自筆証書遺言のデメリットは、様式不備で無効になりやすく、自宅保管だと紛失・改ざんのリスクがある点です。
日付の書き忘れ、押印漏れ、曖昧な表現――どれも無効や解釈トラブルの原因になります。
正直、ここはメリットよりデメリットの比重が大きいと感じます。だからこそ、後述する法務局の保管制度でリスクを潰すのが私のおすすめです。
1-3. 自筆証書遺言は法務局で保管可能
自筆証書遺言は、法務局の保管制度を使えば原本を国が預かり、検認手続きが不要になります。
通常、自筆証書遺言を見つけた人は家庭裁判所で検認を受ける義務があります(民法1004条)。これが意外と手間で、相続人全員に通知が行き、開封の立会いも必要です。
保管制度を使えば、この検認が丸ごと省けます。手数料3,900円で家族の手続き負担を減らせるなら、私は安い投資だと考えています。
2. 自筆遺書遺言の例文・見本
自筆遺言証書は、「誰に・何を・どれだけ相続させるか」を具体的に特定して書くのが基本です。
たとえば不動産なら「東京都◯◯区◯◯1丁目2番3号の土地および建物を、長男 田中一郎に相続させる」のように、登記簿の表示どおりに書きます。
預貯金なら「◯◯銀行◯◯支店 普通預金 口座番号1234567の預金を、長女 田中花子に相続させる」と、金融機関名・支店・口座まで特定します。
最後に作成した日付、住所、氏名を自筆で書き、押印します。実印でなくても有効ですが、私は本人確認の観点から実印を勧めています。
3. 自筆証書遺言の要件、書き方

自筆証書遺言の成立には、全文の自筆・日付の自筆・氏名の自筆・押印・訂正の方式という5つの要件を満たす必要があります(民法968条)。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 全文を自筆 | 本文はすべて手書き(財産目録は除く) |
| 日付を自筆 | 作成した正確な日付を手書きで記入 |
| 氏名を自筆 | 遺言者本人の氏名を手書きで記入 |
| 押印 | 印鑑を押す(実印でなくても可) |
| 訂正の方式 | 訂正箇所に押印し、欄外に変更内容を自筆で記載 |
この5点は、どれが欠けても遺言全体が無効になる可能性があります。チェックリストとして手元に置いておくと安心です。
3-1. 全文を自筆で書く(財産目録は除く)
遺言の本文は全文を自筆で書く必要がありますが、添付する財産目録だけはパソコンで作成しても構いません。
2019年の民法改正で、別紙として添付する財産目録は自筆不要になりました。不動産の登記事項証明書や預金通帳のコピーを目録として使うこともできます。
ただし財産目録の各ページには、署名と押印が必要です。ここを忘れると目録部分が無効になるので注意してください。
よくある質問
自筆遺言証書について、相談現場で実際によく聞かれる質問をまとめました。
