遺言の自筆証書とは?メリット・デメリットと法務局保管制度を解説
- 自筆証書遺言は、本文・日付・氏名を遺言者本人が手書きし、押印して作る遺言書です。
- 財産目録だけは2019年1月13日以降、パソコン作成や通帳コピーの添付が認められています。
- 法務局の自筆証書遺言書保管制度を使うと、手数料は1通3,900円で本人が出向いて申請します。
- 訂正の方式を間違えると、その訂正部分が無効になります。
- 用紙はA4で、上5mm・下10mm・左20mm・右5mmの余白が必要です(保管制度を使う場合)。
遺言 自筆証書の結論

自筆証書遺言は、紙とペンと印鑑があれば費用ゼロで今日から作れる遺言書です。
私が行政書士として相談を受けるとき、最初に伝えるのは「手軽さと引き換えに、形式ミスで無効になるリスクがある」という点です。
法務省も、財産目録以外はすべて自書が必要だと明記しています。本文をパソコンで打った時点でアウトです。
自筆証書遺言書保管制度について
自筆証書遺言書保管制度は、書いた遺言書を法務局が預かり、紛失や改ざんを防ぐ仕組みで、手数料は1通3,900円です。
政府広報オンラインによると、申請には自筆証書遺言書のほか、申請書・本人確認書類・住民票の写しなどが必要です。
この制度の大きなメリットは、後で説明する家庭裁判所の検認が不要になること。残された家族の手間が一段減ります。
申請は本人が法務局に出向いて行います。代理人ではダメで、事前予約も必要です。提出する遺言書は封をせず、そのまま出します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 手数料 | 1通あたり3,900円 |
| 申請者 | 遺言者本人(代理申請不可) |
| 申請先 | 法務局(遺言書保管所)※事前予約制 |
| 遺言書の状態 | 封をせずにそのまま提出 |
| 必要書類 | 遺言書・申請書・本人確認書類・住民票の写し等 |
| 検認 | 不要 |
お知らせ
財産目録の自書が不要になったのは2019年1月13日からで、これは最近の実務でも見落とされがちな変更点です。
正直、いまだに「全部手書きしないとダメだと思っていた」という相談者が少なくありません。
財産目録はパソコンで作っても、登記事項証明書や預貯金通帳の写しを添付してもかまいません。ただし各ページへの署名・押印は忘れずに。
遺言の作成を相談できる弁護士を探す

自分で書く自信がない、あるいは相続人どうしのトラブルが心配なら、専門家への相談が近道です。
私は行政書士なので争いのない遺言作成を支援しますが、相続人間にすでに対立がある場合は弁護士に依頼すべきだと考えています。
遺留分(いりゅうぶん)=一定の相続人に法律で保障された最低限の取り分、をめぐる争いは、当事者だけで解決するのが難しいからです。
1. 自筆証書遺言とは
自筆証書遺言とは、遺言者が本文・日付・氏名をすべて自分で手書きし、押印して作成する遺言書です。
民法で認められた遺言の方式の一つで、公証役場を使う公正証書遺言と並んでよく利用されます。
手間も費用もかからない反面、自分一人で作るぶん、方式を満たしているかを誰もチェックしてくれません。ここが落とし穴です。
1-1. 自筆証書遺言のメリット
自筆証書遺言の最大のメリットは、紙とペンと印鑑だけで費用をかけずに作れる手軽さです。
誰にも知られず、思い立ったその日に書ける。証人も不要です。
内容を変えたくなったら、新しく書き直すだけ。公正証書のように公証役場へ予約を取り直す必要もありません。気持ちの変化に合わせやすいのは、現場で見ていても実感します。
1-2. 自筆証書遺言のデメリット

最大のデメリットは、方式の不備で無効になるおそれがあることです。
日付が「令和7年8月吉日」のように特定できない書き方だと、無効と判断された例があります。
正直に言うと、私はメリットよりデメリットの比重が大きいと考えています。せっかく書いても無効では意味がない。だからこそ、後述の保管制度や専門家のチェックを併用してほしいのです。
自宅で保管すると、紛失・改ざん・発見されないリスクもつきまといます。
1-3. 自筆証書遺言は法務局で保管可能
自筆証書遺言は、法務局の保管制度を使えば1通3,900円で安全に預けられます。
自宅保管にありがちな紛失や改ざんのリスクを防げるうえ、家庭裁判所の検認も不要になります。
費用ゼロにこだわって自宅の引き出しにしまうより、3,900円払って法務局に預けるほうが、私は断然安心だと思っています。
2. 自筆遺書遺言の例文・見本
自筆証書遺言は、誰に何を相続させるかを具体的に書き、日付・氏名・押印で締めくくるのが基本形です。
たとえば、こんな形になります。
遺言書 遺言者 村田誠一は、次のとおり遺言する。一、妻 村田花子(昭和○年○月○日生)に、別紙財産目録一記載の不動産を相続させる。二、長男 村田太郎に、別紙財産目録二記載の預貯金を相続させる。令和七年八月十日 住所 ○○県○○市○○一丁目二番三号 村田誠一 印
ポイントは、財産と相続人を一人に絞れる書き方をすること。「不動産」だけでは曖昧なので、財産目録で物件を特定します。
3. 自筆証書遺言の要件、書き方

自筆証書遺言の要件は、本文の自書・署名・日付・押印の4つで、これを満たさないと無効になるおそれがあります。
法務省も、財産目録以外はすべて自書が必要だと明記しています。押印は認印でもかまいませんが、スタンプ印は避けるよう案内されています。
| 要件 | ポイント |
|---|---|
| 全文の自書 | 本文は手書き。財産目録のみパソコン等で作成可 |
| 署名 | 遺言者本人の氏名を自書する |
| 日付 | 年月日を特定できるよう正確に書く |
| 押印 | 認印でも可。スタンプ印は避ける |
日付は和暦・西暦どちらでもよいですが、「吉日」のような特定できない書き方はNGです。
3-1. 全文を自筆で書く(財産目録は除く)
本文は一字一句すべて手書きが必要で、パソコン作成や代筆は本文では認められません。
例外は財産目録だけ。2019年1月13日以降、財産目録はパソコンで作ったり、登記事項証明書や預貯金通帳の写しを添付したりできるようになりました。
ただし、財産目録を添付する場合は各ページに署名・押印が要ります。ここを抜かすと無効の原因になるので注意してください。
保管制度を使うなら、用紙はA4サイズで、上5mm・下10mm・左20mm・右5mmの余白を確保します。実際に申請する人は、この余白で何度も書き直すことになりがちです。
よくある質問
相談現場で実際に多い質問を、出典に基づいて答えます。
よくある質問
まずはA4の紙を1枚用意して、誰に何を渡したいかを書き出すところから始めてください。私の経験上、最初の一文を書けた人は、そのまま完成までたどり着けることが多いです。
