自筆証書遺言 公正証書 違い
- 自筆証書遺言は全文・日付・氏名を自書し押印して作る、原則費用ゼロの遺言です。
- 公正証書遺言は証人2人の立会いのもと公証人が作成するため、方式不備のリスクがほぼありません。
- 通常の自筆証書遺言は相続開始後に家庭裁判所の検認が必要、公正証書遺言は検認不要です。
- 自筆証書遺言を法務局に預ける保管制度は1通3,900円、利用すると検認が不要になります。
- 公正証書遺言の手数料は財産額で決まり、たとえば目的の価額200万円超500万円以下なら11,000円です。
自筆証書遺言 公正証書 違いの結論

両者の最大の違いは「無効になるリスク」と「手間・費用」のトレードオフです。
自筆証書遺言は、紙とペンと印鑑があれば自宅で完結します。費用は原則かかりません(法務省)。ただし書き方を間違えると無効になります。
公正証書遺言は、公証人が方式と遺言能力を確認しながら作るので、形式不備で無効になる心配がほぼありません。その代わり手数料と証人2人の手配が必要です。
| 項目 | 自筆証書遺言 | 公正証書遺言 |
|---|---|---|
| 作り方 | 本人が全文・日付・氏名を自書し押印 | 証人2人の立会いで公証人が筆記 |
| 費用 | 原則無料(保管制度は1通3,900円) | 財産額に応じた公証人手数料 |
| 検認 | 原則必要(保管制度利用時は不要) | 不要 |
| 無効リスク | 方式不備で無効のおそれあり | 公証人が確認するため低い |
| 保管 | 自宅または法務局 | 原本を公証役場が保管 |
自筆証書遺言の作り方と特徴
自筆証書遺言は、遺言者が本文の全文・日付・氏名を手書きし、押印して完成させる遺言です。
民法968条が定める方式で、ここを外すと無効になります。日付を「令和7年3月吉日」のように曖昧に書くと無効、というのは実務でよく見るつまずきです。
財産目録だけは、一定の要件のもとでパソコン作成や通帳コピーの添付が認められています。全部を手書きしなくてよくなったのは、現場としてかなり助かる改正でした(法務省)。
預け先は自宅でも構いませんが、紛失・改ざん・発見されないリスクがついて回ります。これを解決するのが法務局の保管制度です。
保管制度を使えば、遺言者本人が法務局へ出頭し、本人確認書類を提示して預けます。利用手数料は1通3,900円。預けた遺言は相続開始後の検認が不要になります(法務省)。
公正証書遺言の作り方と特徴
公正証書遺言は、証人2人以上の立会いのもと、遺言者が公証人に内容を口授し、公証人がそれを筆記して作る遺言です(民法969条)。
原本は公証役場に保管されるため、紛失・改ざんの心配がなく、相続開始後の検認も不要です(前述の日本公証人連合会)。
公証人が方式と遺言能力を確認するので、無効になるリスクが低い設計になっています。私が作成サポートに入る案件で公正証書を選ぶのは、この安心感が理由です。
手数料は公証人手数料令で定められ、目的財産の価額に応じて変わります。代表的な金額を表にまとめます。
| 目的の価額 | 手数料 |
|---|---|
| 100万円超〜200万円以下 | 7,000円 |
| 200万円超〜500万円以下 | 11,000円 |
上の表は一部です。財産を複数人に分ける場合は、相手ごとに価額を区切って手数料を計算するため、合計額は増えます。正確な見積もりは、財産内容を伝えて公証役場に確認するのが確実です。
「遺言」とは何か

遺言とは、被相続人が自分の財産を誰にどう遺すかを定める、生前最後の意思表示です。
遺言書がないと、財産は法律で決まった割合(法定相続分)を目安に、相続人全員の話し合い(遺産分割協議)で分けることになります。話がまとまらず揉めるのは、たいていこのパターンです。
遺言があれば、本人の意思で配分を決められます。「この家は長男に」「世話になった人に一部を」といった希望を残せるのが、遺言を書く一番の意味です。
遺言執行者とは「遺言を実現する人」
遺言執行者とは、遺言の内容を実際の手続きとして実現する役割を担う人です。
不動産の名義変更や預金の払い戻しなど、相続の手続きは煩雑です。遺言執行者を遺言書で指定しておくと、その人が代表して手続きを進められます。
指定は任意ですが、相続人同士の関係が複雑なケースほど、第三者の専門家を執行者に決めておくと無用な対立を避けられます。私自身、執行者として受任することがありますが、最初に決めておくか否かで手続きのスムーズさはまるで違います。
どちらを選ぶか、私の考え
正直に言うと、財産が複数あり相続人が複数いるなら、私は公正証書遺言を強くすすめます。
費用はかかります。それでも、無効になって遺された家族が困る事態を避けられる価値は、手数料を上回ると考えています。
一方で、財産がシンプルで相続人が少なく、まず一通残しておきたいという段階なら、保管制度付きの自筆証書遺言で十分です。1通3,900円で検認不要になるなら、コストパフォーマンスは悪くありません。
迷うのは、その中間の人です。自筆で書いてみて不安が残るなら、公正証書遺言への切り替えを検討する。この順序で進めるのが現実的だと感じています。
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