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自筆証書遺言 公正証書 違い

村田 誠一 / 更新:2026-06-20
遺言を書こうと決めたとき、最初にぶつかるのが「自分で書く自筆証書遺言と、公証役場で作る公正証書遺言、どっちがいいのか」という悩みです。結論から言うと、確実に遺したいなら公正証書遺言、手軽さ重視なら自筆証書遺言です。両者の違いを、費用・手続き・無効リスクの観点から行政書士の私が整理します。
  • 自筆証書遺言は全文・日付・氏名を自書し押印して作る、原則費用ゼロの遺言です。
  • 公正証書遺言は証人2人の立会いのもと公証人が作成するため、方式不備のリスクがほぼありません。
  • 通常の自筆証書遺言は相続開始後に家庭裁判所の検認が必要、公正証書遺言は検認不要です。
  • 自筆証書遺言を法務局に預ける保管制度は1通3,900円、利用すると検認が不要になります。
  • 公正証書遺言の手数料は財産額で決まり、たとえば目的の価額200万円超500万円以下なら11,000円です。

自筆証書遺言 公正証書 違いの結論

【弁護士が解説】自筆証書遺言と公正証書遺言の違い
【弁護士が解説】自筆証書遺言と公正証書遺言の違い

両者の最大の違いは「無効になるリスク」と「手間・費用」のトレードオフです。

自筆証書遺言は、紙とペンと印鑑があれば自宅で完結します。費用は原則かかりません(法務省)。ただし書き方を間違えると無効になります。

公正証書遺言は、公証人が方式と遺言能力を確認しながら作るので、形式不備で無効になる心配がほぼありません。その代わり手数料と証人2人の手配が必要です。

自筆証書遺言と公正証書遺言の主な違い
項目自筆証書遺言公正証書遺言
作り方本人が全文・日付・氏名を自書し押印証人2人の立会いで公証人が筆記
費用原則無料(保管制度は1通3,900円)財産額に応じた公証人手数料
検認原則必要(保管制度利用時は不要)不要
無効リスク方式不備で無効のおそれあり公証人が確認するため低い
保管自宅または法務局原本を公証役場が保管
確実性を最優先するなら公正証書遺言。費用をかけず手軽に始めたいなら、法務局の保管制度とセットにした自筆証書遺言を私はすすめます。

自筆証書遺言の作り方と特徴

自筆証書遺言は、遺言者が本文の全文・日付・氏名を手書きし、押印して完成させる遺言です。

民法968条が定める方式で、ここを外すと無効になります。日付を「令和7年3月吉日」のように曖昧に書くと無効、というのは実務でよく見るつまずきです。

財産目録だけは、一定の要件のもとでパソコン作成や通帳コピーの添付が認められています。全部を手書きしなくてよくなったのは、現場としてかなり助かる改正でした(法務省)。

預け先は自宅でも構いませんが、紛失・改ざん・発見されないリスクがついて回ります。これを解決するのが法務局の保管制度です。

保管制度を使えば、遺言者本人が法務局へ出頭し、本人確認書類を提示して預けます。利用手数料は1通3,900円。預けた遺言は相続開始後の検認が不要になります(法務省)。

公正証書遺言の作り方と特徴

公正証書遺言は、証人2人以上の立会いのもと、遺言者が公証人に内容を口授し、公証人がそれを筆記して作る遺言です(民法969条)。

原本は公証役場に保管されるため、紛失・改ざんの心配がなく、相続開始後の検認も不要です(前述の日本公証人連合会)。

公証人が方式と遺言能力を確認するので、無効になるリスクが低い設計になっています。私が作成サポートに入る案件で公正証書を選ぶのは、この安心感が理由です。

手数料は公証人手数料令で定められ、目的財産の価額に応じて変わります。代表的な金額を表にまとめます。

公正証書遺言の公証人手数料(目的の価額別の例)
公証人手数料令にもとづく。財産を渡す相手ごとに価額を区切って計算する。
目的の価額手数料
100万円超〜200万円以下7,000円
200万円超〜500万円以下11,000円

上の表は一部です。財産を複数人に分ける場合は、相手ごとに価額を区切って手数料を計算するため、合計額は増えます。正確な見積もりは、財産内容を伝えて公証役場に確認するのが確実です。

「遺言」とは何か

自筆証書と公正証書 遺言書を作るならどちらがよいのか?【#0108】
自筆証書と公正証書 遺言書を作るならどちらがよいのか?【#0108】

遺言とは、被相続人が自分の財産を誰にどう遺すかを定める、生前最後の意思表示です。

遺言書がないと、財産は法律で決まった割合(法定相続分)を目安に、相続人全員の話し合い(遺産分割協議)で分けることになります。話がまとまらず揉めるのは、たいていこのパターンです。

遺言があれば、本人の意思で配分を決められます。「この家は長男に」「世話になった人に一部を」といった希望を残せるのが、遺言を書く一番の意味です。

遺言執行者とは「遺言を実現する人」

遺言執行者とは、遺言の内容を実際の手続きとして実現する役割を担う人です。

不動産の名義変更や預金の払い戻しなど、相続の手続きは煩雑です。遺言執行者を遺言書で指定しておくと、その人が代表して手続きを進められます。

指定は任意ですが、相続人同士の関係が複雑なケースほど、第三者の専門家を執行者に決めておくと無用な対立を避けられます。私自身、執行者として受任することがありますが、最初に決めておくか否かで手続きのスムーズさはまるで違います。

どちらを選ぶか、私の考え

正直に言うと、財産が複数あり相続人が複数いるなら、私は公正証書遺言を強くすすめます。

費用はかかります。それでも、無効になって遺された家族が困る事態を避けられる価値は、手数料を上回ると考えています。

一方で、財産がシンプルで相続人が少なく、まず一通残しておきたいという段階なら、保管制度付きの自筆証書遺言で十分です。1通3,900円で検認不要になるなら、コストパフォーマンスは悪くありません。

迷うのは、その中間の人です。自筆で書いてみて不安が残るなら、公正証書遺言への切り替えを検討する。この順序で進めるのが現実的だと感じています。

自筆証書遺言が不安なら、無理に自筆で完結させず公正証書遺言に切り替える。形式不備で無効になるより、手数料を払って確実に遺すほうが家族のためになります。

よくある質問

【2019年民法改正】自筆証書遺言の要件や無効になるケースは?/公正証書遺言との違い/財産目録はPC作成OK!/記載例付
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よくある質問

自筆証書遺言 公正証書 違いとは?
自筆証書遺言は本人が全文・日付・氏名を自書し押印して作る遺言で原則無料、公正証書遺言は証人2人の立会いで公証人が作成する遺言で手数料がかかります。公正証書遺言は検認が不要で無効リスクが低い点が大きな違いです。
自筆証書遺言 公正証書 違いの費用は?
自筆証書遺言は原則費用がかかりません。法務局の保管制度を使う場合は1通3,900円です。公正証書遺言は公証人手数料令で金額が決まり、目的の価額が200万円超500万円以下なら11,000円が目安です。
自筆証書遺言 公正証書 違いの始め方は?
自筆証書遺言は紙とペンと印鑑で書き始められ、法務局に預けたい場合は本人が出頭して本人確認書類を提示します。公正証書遺言は、証人2人を用意し公証役場に内容を伝えて作成を依頼します。
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村田 誠一

行政書士(相続・遺言専門) ・ 公正証書遺言の作成サポート実務経験あり
行政書士歴12年

行政書士として相続・遺言業務に長年携わり、公証役場との実務連携を通じて得た一次情報をもとに、読者が実際に動けるよう具体的な手順と費用を丁寧に解説します。

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