ホーム › 遺言書の効力はいつから?発生時期と注意点をわかりやすく解説

遺言書の効力はいつから?発生時期と注意点をわかりやすく解説

村田 誠一 / 更新:2026-06-20
「親が遺言書を書いてくれたけど、その効力っていつから始まるの?」と気になって調べている方が多いはずです。結論から言うと、遺言書の効力は原則として遺言者が亡くなった時から発生します。生きている間は、いくら立派な遺言書があっても法的な効力はありません。
  • 遺言書の効力は、原則として遺言者の死亡時から発生する(民法985条1項)。
  • 停止条件付きの遺言は、条件が成就した時から効力を生じる(民法985条2項)。
  • 遺言書に有効期限はなく、何年前のものでも方式と内容が適法なら有効。
  • 複数の遺言書がある場合、後の遺言が前の遺言と抵触する範囲で前を撤回する(民法1023条)。
  • 自筆証書遺言の法務局保管制度を使えば、家庭裁判所の検認は不要。

遺言書 効力 いつからの結論

遺言はいつから効力が発生する?【遺産相続の相談は直法律事務所】
遺言はいつから効力が発生する?【遺産相続の相談は直法律事務所】

遺言書の効力は、遺言者が亡くなった瞬間から発生します。これが大原則です。

民法985条1項に「遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生ずる」と明記されています。私が行政書士として相続の相談を受けるとき、ここを誤解している方は本当に多い。

「書いた日から効力があるのでは?」と聞かれることがありますが、違います。遺言者が生きている限り、遺言書は何の拘束力も持ちません。だからこそ、いつでも書き直せるわけです。

遺言書の効力が発生するのは「作成した日」ではなく「遺言者が亡くなった日」です。生きている間は何度でも書き直せます。

遺言の効力発生時期

遺言の効力発生時期は、原則「死亡時」、例外として「停止条件の成就時」の2パターンです。

まず原則。民法985条1項のとおり、遺言者の死亡と同時に効力が生じます。死亡届を出したかどうか、相続人が遺言の存在を知ったかどうかは関係ありません。亡くなった瞬間に効力が動き出します。

次に例外です。遺言に「停止条件」が付いている場合、その条件が遺言者の死亡後に成就すれば、条件が成就した時から効力が生じます(民法985条2項)。停止条件とは、ある出来事が起きたら効力を発動させる、という約束のことです。

たとえば「長男が結婚したら、この土地を与える」という遺言。遺言者が亡くなった時点で長男が独身なら、結婚した日に初めて贈与の効力が生まれます。

遺言の効力が発生するタイミング
ケース効力発生時期根拠
通常の遺言遺言者の死亡時民法985条1項
停止条件付きの遺言で、死亡後に条件成就条件が成就した時民法985条2項

ちなみに「遺言書に有効期限はあるのか」という質問もよく受けます。民法に「一定期間で効力が消える」という規定はありません。20年前に書いた遺言でも、方式と内容が適法なら有効です。

受遺者が先に死亡していた場合の遺贈の効力

遺贈を受けるはずの人(受遺者)が遺言者より先に亡くなっていた場合、その遺贈は効力を生じません。

民法994条1項は、受遺者が遺言者の死亡以前に死亡したときは遺贈は効力を生じない、と定めています。これも実務でつまずきやすいポイントです。

「父が弟に財産を遺すと書いていたが、弟が父より先に亡くなった」というケース。この場合、弟への遺贈は無効になります。弟の子(孫)が自動的に受け継ぐわけではありません。

効力を生じなかった財産は、原則として相続人へ戻り、遺産分割の対象になります。先に亡くなる順番まで想定して遺言を書く人は少ないので、私は「予備的遺言」を勧めています。「弟が先に亡くなっていた場合は、弟の子に遺す」と書いておく方法です。

受遺者が遺言者より先に亡くなると、その遺贈は無効になります。孫へ自動的に引き継がれないので、予備的な指定を入れておくと安心です。

遺言による権利移転の効力

遺言書の主な効力とは|常滑など知多半島の遺言作成相談
遺言書の主な効力とは|常滑など知多半島の遺言作成相談

遺言による財産の権利移転は、死亡時に当然発生しますが、第三者に主張するには登記などの対抗要件が必要です。

不動産を「長女に相続させる」と遺言で指定した場合、長女は死亡時にその不動産を取得します。ただし、登記をしないまま放置すると、思わぬトラブルが起きます。

正直に言うと、ここを軽く見る相続人が多い。法定相続分を超える部分は、登記をしておかないと第三者に権利を主張できないからです。実務では、遺言書が出てきたらできるだけ早く名義変更の手続きに入るよう案内しています。

なお、相続税の申告期限は相続の開始を知った日の翌日から10か月以内です。遺言の効力発生とは別の話ですが、権利が移転すれば税の問題も連動します。期限を逃すと加算税のリスクがあるので、ここも忘れないでください。

遺言と異なる遺産分割はできる?

相続人全員が合意すれば、遺言と異なる内容で遺産分割することは可能です。

遺言は故人の意思ですが、相続人全員が「この分け方に変えたい」と納得するなら、別の遺産分割協議をまとめても問題ありません。実際、私が関わった案件でも珍しくない話です。

ただし条件があります。受遺者が相続人以外の第三者だと、その人の同意も必要です。また、遺言執行者がいる場合は、執行を妨げない範囲で進める配慮が要ります。

私の率直な意見として、せっかく故人が遺言を残したなら、まずはその意思を尊重するのが筋だと思います。それでも家族の事情で分け方を変える必要があるなら、全員の合意を書面に残すこと。口約束は後で必ずもめます。

遺言の効力の基礎知識:まとめ

遺言の効力は死亡時に発生し、有効期限はなく、複数あれば新しいものが優先される、これが押さえるべき基礎です。

複数の遺言書が出てきた場合、後の遺言が前の遺言と抵触する範囲で前を撤回します(民法1023条)。「新しい日付の遺言が優先」と言われるのはこのためです。日付のない自筆証書遺言は、それだけで無効になり得ます。

遺言の方式と検認・主な費用
種類検認主な費用特徴
自筆証書遺言(自宅保管)必要無料手軽だが方式不備で無効になりやすい
自筆証書遺言(法務局保管)不要保管手数料3,900円/通検認不要・紛失リスクが低い
公正証書遺言不要価額に応じた公証人手数料方式不備で無効になるリスクが低い

法務局の自筆証書遺言書保管制度では、遺言書を50年間、遺言者死亡後の関連情報を5年間保管します。検認も不要になるので、私は自筆で書きたい方にこの制度をよく勧めます。

関連サービス

【20選】遺言書の効力がなくなる?!自筆証書遺言書の意外と多いミスと注意点を弁護士&税理士が完全解説!
【20選】遺言書の効力がなくなる?!自筆証書遺言書の意外と多いミスと注意点を弁護士&税理士が完全解説!

遺言の効力を確実にしたいなら、公正証書遺言の作成サポートを使うのが一番堅実です。

公正証書遺言は作成時に公証人が関与するため、方式不備で無効になるリスクが低いのが強みです。手数料は目的の価額で変わります。たとえば財産が1,000万円超〜3,000万円以下なら23,000円、500万円超〜1,000万円以下なら17,000円です。

公正証書遺言の手数料の目安
目的の価額手数料
100万円超〜200万円以下11,000円
500万円超〜1,000万円以下17,000円
1,000万円超〜3,000万円以下23,000円
謄本の交付用紙1枚につき250円

遺産相続の基礎知識

遺言があっても、遺留分という最低限の取り分は相続人に保障されています。

たとえ「全財産を長男に」と書いてあっても、他の相続人は遺留分を請求できます。遺言の効力そのものは有効でも、遺留分を侵害された人は金銭の支払いを求められる、という仕組みです。

私の経験では、特定の子に全部を遺す遺言ほど後で争いになります。遺言を書くなら、遺留分を最初から計算に入れておく。これが現場で得た一番の教訓です。

columns 弁護士コラム

認知症の親が書いた遺言が有効かどうかは、書いた時点で判断能力があったかで決まります。

遺言が有効であるには、遺言を書く時点で「遺言能力」が必要です。認知症の診断があっても、症状の程度によります。軽度で意思がはっきりしていれば有効、重度で判断できない状態なら無効になり得ます。

だからこそ、認知症が心配な段階では公正証書遺言を選ぶべきです。公証人が本人の意思を確認し、医師の診断書を添えておけば、後の「無効だ」という主張に対抗しやすくなります。

よくある質問① 認知症の親が作成した遺言書の効力

【自筆証書遺言】法務局に預けるのちょっと待って‼‼
【自筆証書遺言】法務局に預けるのちょっと待って‼‼

認知症でも、遺言を書いた時点で判断能力があれば遺言は有効です。

よくある質問

認知症の親が書いた遺言書は無効になりますか?
一律に無効にはなりません。判断の基準は「遺言を書いた時点で遺言能力があったか」です。軽度で意思がはっきりしていれば有効になり得ますし、重度で判断できない状態なら無効と判断されることがあります。心配な場合は、公証人と医師が関与する公正証書遺言にしておくと安全です。

よくある質問② 遺言の強制

遺言は本人の自由な意思で書くもので、誰かに強制されて書いた遺言は無効になり得ます。

よくある質問

家族に無理やり書かされた遺言書は有効ですか?
強迫や詐欺によって書かされた遺言は、取り消しや無効の対象になります。遺言は遺言者本人の真意にもとづくことが前提だからです。逆に、家族が「遺言を書いてほしい」と頼むこと自体は問題ありません。本人が自分の意思で内容を決めているかどうかが分かれ目です。
遺言書の効力はいつから発生しますか?
原則として遺言者が亡くなった時から発生します(民法985条1項)。停止条件が付いていて、その条件が死亡後に成就した場合は、条件が成就した時から効力が生じます(同条2項)。
遺言書の作成にかかる費用は?
自筆証書遺言を法務局に預ける場合の保管手数料は1通3,900円です。公正証書遺言は財産の価額に応じた公証人手数料がかかり、たとえば1,000万円超〜3,000万円以下なら23,000円です。
遺言書はどう始めればいい?
まず財産と相続人を書き出し、誰に何を遺すか決めます。確実性を重視するなら公正証書遺言、手軽さなら法務局保管制度を使った自筆証書遺言がおすすめです。迷ったら専門家に相談してください。

最後に私から一言。遺言は「書いて終わり」ではありません。家族構成や財産が変われば、書き直しが必要です。気になったら、まず財産の棚卸しから始めてみてください。

この記事について質問できますAIが記事をもとに答えます
こんにちは。この記事について、下の候補から選ぶか、自由に質問できます。

村田 誠一

行政書士(相続・遺言専門) ・ 公正証書遺言の作成サポート実務経験あり
行政書士歴12年

行政書士として相続・遺言業務に長年携わり、公証役場との実務連携を通じて得た一次情報をもとに、読者が実際に動けるよう具体的な手順と費用を丁寧に解説します。

メルマガ登録

村田 誠一
村田 誠一
行政書士として相続・遺言業務に長年携わり、公証役場との実務連携を通じて得た一次情報をもとに、読者が実際に動けるよう具体的な手順と費用を丁寧に解説します。

記事には書ききれない現場のリアルや最新の動きを、わたしから直接メルマガでお届けします。よかったら登録してください。

登録は無料・いつでも解除できます。