公正証書遺言の証人になれる条件と費用をわかりやすく解説
- 公正証書遺言には証人2人以上の立会いが必要です(民法969条)。
- 証人になれるのは遺言に利害関係のない第三者です。
- 未成年者・推定相続人・受遺者は証人になれません。
- 推定相続人や受遺者の配偶者・直系血族も証人になれません。
- 身近に頼める人がいなければ、公証役場で証人を紹介してもらえます。
公正証書遺言 証人 条件の結論

公正証書遺言の証人は、2人以上で、かつ遺言の内容に利害関係を持たない第三者でなければなりません。
つまり「財産をもらう人」やその近い家族は証人になれない、というのが核心です。これは民法969条で定められた要件で、日本公証人連合会も同じ説明をしています。
正直に言うと、ここを知らずに「妻と長男に証人を頼もう」と考えてしまう方がとても多いです。でもそれだと遺言が無効になりかねません。
1.公正証書遺言には証人が2人必要
公正証書遺言を作成するには、証人2人以上の立会いが必須です。
民法969条は、公正証書遺言の方式として「証人2人以上の立会い」を要件に挙げています。1人ではいけません。
証人の役割は、遺言者の意思を確認し、手続が正しく行われたことを担保することにあります。日本公証人連合会もそう説明しています。
実務では、作成当日に証人2人が公証役場へ同席し、最後に署名・押印します。立会いから署名までを通して行うので、当日に都合をつけてもらえる人を選ぶのが現実的です。
2.公正証書遺言の証人になれない人
未成年者、推定相続人、受遺者、そしてそれらの近い家族や公証人の関係者は、証人になれません。
民法974条は、証人になれない人をはっきり定めています。利害関係のある人を排除し、遺言の公正さを守るためです。
| 区分 | 具体例 | 理由 |
|---|---|---|
| 未成年者 | 18歳未満の人 | 判断能力の担保が難しいため |
| 推定相続人 | 配偶者・子・親など相続する立場の人 | 遺言の内容に利害があるため |
| 受遺者 | 遺言で財産をもらう人 | 遺言の内容に利害があるため |
| 上記の配偶者・直系血族 | 相続人や受遺者の妻・夫・親・子・孫など | 間接的に利害が及ぶため |
| 公証人の関係者 | 公証人の配偶者・四親等内の親族・書記・使用人 | 手続の中立性を保てないため |
正直、ここで一番つまずくのが「これらの配偶者および直系血族」という部分です。次の章で順番に分けて説明します。
① 未成年者

未成年者(18歳未満)は、誰の親族であっても証人になれません。
年齢だけで一律に除外されます。「しっかりした高校生だから大丈夫」という例外はありません。
実務でも、孫に頼みたいという相談を受けますが、孫が未成年なら不可です。成人していても受遺者の直系血族ならやはり不可なので、二重に注意が要ります。
② 推定される相続人、受遺者(財産をもらう人)、これらの配偶者および直系血族(祖父母・両親・子・孫など)
財産をもらう側の人と、その配偶者・直系血族は、全員が証人になれません。
推定相続人とは、いまの時点で相続する立場にある人(配偶者・子・親など)のことです。受遺者は遺言で財産を受け取る人を指します。
ここで見落としやすいのが「配偶者および直系血族」です。たとえば長男に財産を遺すなら、長男はもちろん、長男の妻、長男の子(つまり孫)も証人になれません。
私が実際に相談で驚いたのは、「同居の嫁なら他人だから証人にできる」と思い込んでいたケースです。受遺者の配偶者は明確に除外されます。家族の誰かに頼む発想は、ほぼ通用しないと考えてください。
③ 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記および使用人
公証人の配偶者、四親等内の親族、書記、使用人も証人にはなれません。
これは手続の中立性を守るための規定です。遺言者側だけでなく、公証役場側の関係者も除外されます。
とはいえ、一般の方がここに該当することはまずありません。後で触れる「公証役場で紹介してもらう証人」は、この制限に触れない人が手配されるので心配は要りません。
3.【依頼先別】証人になってもらうときの費用

証人を頼む費用は依頼先で変わり、知人なら無料、公証役場や専門家に頼むと有料になるのが一般的な構図です。
ただし、正直にお伝えすると、検索で出回っている「相場いくら」という具体的な金額には、公的な一次情報の裏づけがありません。だから私はここで断定的な金額は書きません。
代わりに、依頼先ごとの性質を整理します。実際の料金は、依頼先の事務所や公証役場に直接確認するのが確実です。
| 依頼先 | 費用の性質 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 信頼できる知人 | 原則として費用はかからない | 秘密を守れる第三者が身近にいる人 |
| 公証役場の紹介 | 紹介に伴う費用がかかる場合がある | 身近に頼める第三者がいない人 |
| 行政書士・司法書士・弁護士 | 遺言作成サポートの報酬に含めて依頼することが多い | 遺言の内容づくりから任せたい人 |
なお、証人費用とは別に、公証人に支払う手数料が必ずかかります。これは遺言で渡す財産の額と、受け取る人ごとに計算されます。
3-1.行政書士や司法書士、弁護士に依頼する場合
専門家に依頼する最大の利点は、証人の手配と遺言内容のチェックをまとめて任せられることです。
私自身が行政書士として遺言作成をサポートする際は、内容の整理から公証役場との日程調整、当日の証人手配まで一括で対応します。
費用は事務所ごとの報酬体系によります。証人だけを単独で頼むより、遺言作成の支援とセットで依頼する形が一般的です。
内容に少しでも不安がある方、相続でもめそうな事情がある方には、私は専門家への依頼を勧めます。証人の中立性も確実に確保できます。
3-2.公証人役場で紹介してもらう場合
身近に証人を頼める人がいない場合、公証役場に証人を紹介してもらえます。
日本公証人連合会は、証人を遺言者本人が手配できると案内する一方で、公証役場で紹介を受ける運用も示しています。
紹介される証人は、もちろん証人になれない人の条件に触れない第三者です。秘密保持の面でも安心して任せられます。
紹介に費用がかかる場合があるので、予約の電話のときに「証人の紹介をお願いしたい」と伝え、費用も一緒に確認しておくとスムーズです。
3-3.信頼できる知人にお願いする場合

利害関係のない知人なら証人を頼めて、費用がかからないことが多いのが最大の利点です。
ただし、ここは慎重になってください。証人には遺言の内容が見えます。誰に何を遺すかを知られても問題ない相手かどうか、ここがすべてです。
私の実務感覚では、知人に頼んで後から人間関係が気まずくなるケースもあります。秘密を確実に守れる人が2人いないなら、無理せず公証役場の紹介を使うほうがいいと考えています。
4.まとめ
公正証書遺言の証人は「2人以上・利害関係のない第三者」が絶対条件で、家族のほとんどは選べません。
未成年者、推定相続人、受遺者、それらの配偶者・直系血族、公証人の関係者は証人になれません。ここを外すと、遺言が無効になる危険があります。
頼める第三者がいなければ、公証役場の紹介を使えば解決します。内容に不安があるなら、私のような行政書士に作成段階から相談するのが結局いちばん早い、というのが正直なところです。
まずは最寄りの公証役場に予約の電話を入れ、証人の手配方法と手数料を確認するところから動き始めてください。
